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先日観劇してきました!
中国の歴史や文化が好きなのでとーっても楽しみにしていた蒼穹の昴。
原作はこの演目が決まってから読みましたが、演者さんもナウオンで言っていた通り登場人物の名前が難しい!
とりあえず、梁文秀:ウェンシュウ(彩風咲奈)、李玲玲:リンリン(朝月 希和)、李春児:チュンル(朝美絢)って覚えてればまぁ大丈夫。
原作知らなくても豪華な衣装や圧倒的なセットを見るだけでも価値ありでした。
身分や地位が上がるほど変化する衣装の刺繍や身に着ける装飾品も、こだわりが詰まっていました。
幕が開けばそこから、中国の空気が流れてきます。
我がご贔屓朝美絢さんは、クソ拾いのどん底貧乏から西太后の側近にまで上り詰めるチュンルというお役。
(クソ拾いって…ジェンヌが言うなんて衝撃よ。)
キラキラした大きな瞳と、素直で清らかな心が生き生きと伝わる役作りに脱帽しました。
毎回ですけどね、今回はより朝美絢という役者の力量を存分に味わえた作品でした。
冒頭年上のウェンシュウ彩風と並ぶところは、ぺたんことヒールだったので結構身長差ありでひと萌え。
リンリン朝月と並ぶとほとんど差がなかったので、いつも高いヒール履いて踊り狂ってるのほんと凄いなと。
最初の頃はまっすぐできれいな声質。
京劇を披露し西太合の側近になってからは芯のある声に。
話し方も自然と落ち着いたトーンに変化していきましたね。
毎度細かい役作りにこだわっている朝美さんですが、今回も心が震える演技力に脱帽!
その①ウェンシュウと仲違いをする直前、性悪の宦官:透真 かずきさんがお通りになる場面。よく分からないけどとんでもなく偉い人なんだとガクブルする田舎者の小刻みな震えがほんとに見事で。オペラじゃないと分からないかも。土下座の格好でひたすら震えるんです、小鹿のように。でも「あの人だぁれ?」って子供なんですよ。もうめちゃくちゃ子供にしか見えないんです。子役ではなく、子供がそこに見えた。この子の運命を変えてやりたいと、白太太と同じように素直に心からその気持ちが沸き上がります。
その②西太合の前で舞を披露しウェンシュウと久しぶりの再会をする場面
張り詰めた緊張が溶けて、声は大人になっているけど話し方は弟分の時のまま。母が亡くなった悲しみや後悔、あれだけ宦官になるのを止めていたウェンシュウに頑張りを認めてもらえた嬉しさ、ウェンシュウと歌い上げる「運命の星」に、どのような運命であろうとも、絶対に生き抜く覚悟を持ったチュンルの光輝く歌声が素晴らしかった。*お二人でパート入れ替えて歌ってるんだけど、ラストはあーさが主旋律なのが意外でした。まっすぐ己を信じて進むチュンルそのものです。
その③西太合にウェンシュウの様子がおかしかったと進言する場面
すでに西太合の信任厚き立場にあるのがパッと見て分かる衣装ですが、心の距離感も近いと分からせるチュンルの話し方、それに対する西太合の受け方、専科の一樹 千尋さんの立ち振る舞いもお見事なのもありますが、チュンルの目の動きと声色が、みんなが知らない西太合を見てきたのだなと思わせるものでした。
その④日本公使館でウェンシュウに生きてくれと懇願する場面
大総監になった権力者のチュンルが、ウェンシュウの足元で泣き崩れるんです。子供が泣きじゃくるのに近い嗚咽や鼻をすする音(鼻水は出ていないし、涙も私が見た回は流してなかった)が生々しくマイクに乗ります。床に突っ伏して膝を丸めて泣くんだけど、結構な地位にある人物がウェンシュウの前では昔同様の子供に戻れる。そんな関係性のウェンシュウに「運命は変えられるんだ」と諭すんです。白太太のお告げが嘘だったって知ってたと言うんですけど、こちらも「そんな…チュンル…あなた知っててここまで…」って気持ちになるんですよ。原作読んでるくせに。己を信じて、ウェンシュウを信じて、生きてくれよとすがるチュンルに自然と涙が止まりませんでした。
『大好きな演出』その①
ラスト、亡命する船を見送るチュンル。
紫禁城の長い長い塀に見立てたセットの間を走ってくるその姿は、昔と変わらないピュアな少年チュンルです。
そこから港に着く様を、水兵さんが塀の上手下手の端を徐々に中央に寄せることで表現。
反対側には船の船首から側面が描かれていて、ウェンシュウとリンリンを銀橋から見送ります。
『大好きな演出』その②
その①からの流れですが、輝く未来に向かって3人が笑顔で空を見上げながら素晴らしい歌声のハーモニーが劇場を包み込みます。
きっとこの3人はいつかまた手を取り合うだろう、そのために必要な別れなんだ…と
今は辛いけど、チュンルが照明が消えるその瞬間まで笑顔で見上げているので、眉を八の字にしながら涙し………
突然回り出すミラーボール!!!
下手のセリから真っ赤な龍が上がってきた!!!!!
カズキソラだーーーーーーーーーーーーー!!!
そうだ、忘れていた。
宝塚の1本物にはフィナーレがお約束だった!
芝居の余韻に浸らせてくれないこの強引な華やかさの押し売り!
しかも出てきたのがもはやシュンコイではなくなったバリバリ色気スイッチ全開の和希そら。
ここから私の情緒は不安定。
かわいらしいロケットを恐ろしい腰つきで紹介する和希そら。
堅物みたいなシュンコイは何処へ。
男役の群舞は黒い衣装に薄絹のようなロングの羽織、手には扇子。
みなが頭を下げて待つところに中央のセリから上がってきたトップスター、その衣装に描かれた龍とその空気が荘厳なこと、ため息でちゃう。
振り付けも独特なものがありましたが、静かで力強くて、瞼を閉じられないエネルギーでした。
贔屓ここではけます。
2番手として娘役群舞の中心で踊るため衣装チェンジ!
戻ってきたらラーメンの器みたいな柄の襟がついた青白衣装で登場。
きらっきらの笑顔です。
パレードは中国の王子様でしたよ。帽子がキョンシーみたいな感じ。
兎にも角にも、脚本も演出も衣装も役者もすべてが素晴らしくって、私の心に刺さる演目でした。
フィナーレがなければ宝塚だということを忘れる作品です。
他のキャストも誰もが凄くて(語彙力もうない)また時間あるときに書きます。
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